季節の写真

■季節の写真 (過去の写真はこちら)写真(C)木原浩

草の中に野菊咲くなり一里塚 正岡子規


写真家の木原浩先生にリュウノウギクの写真をご提供いただきました。


リュウノウギクは野菊の一種です。龍脳菊と書き、龍脳という香料に香りが似ていることから名前が付いたとのことです。


野菊と言えば『野菊の墓』です。

ヒロインの民子は野菊が好きで、「私なんでも野菊の生まれ返りよ。野菊の花を見ると身振いの出るほど好ましいの。どうしてこんなかと、自分でも思うくらい」でした。主人公の政夫は「まことに民子は野菊のような子であった。民子は全くの田舎風ではあったが、決して粗野ではなかった。可憐で優しくてそうして品格もあった。厭や味とか憎し気とかいうところは爪のあかほどもなかった。」と評しています。

民子と政夫は従姉弟同士で政夫の実家で同居し(民子が政夫の母の世話をしていた。)、お互い憎からず思っていたのですが、「二つも年の多い民子を僕の嫁にすることはどうしてもいけないということになった」「嫁にしないとすれば、二人の仲をなるたけ裂くような工夫をしなければならない。」ことにより結ばれず(政夫が数え15歳、民子は数え17歳)、民子は市川に嫁に行き、そこで流産が原因で亡くなります。

その頃、政夫は千葉の学校にいたのですが、民子の死を聞いて実家に戻り、「毎日七日間、市川へ通って、民子の墓の周囲には野菊が一面に植えられ」ました。


『野菊の墓』の題名は、ここから取られているのですが、そこには、野菊のようだった民子が亡くなってしまった、取り返しが付かない、という意味が込められています。(平成28年10月 神戸)

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