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日本への投資は大歓迎? - 入管手続と会社設立の変更点
2015年5月17日|神戸 靖一郎|企業法務
日本は、外国への投資には積極的でも外資の導入には消極的なのでしょうか?歴史を見てみると、必ずしもそうとは言えないようです。
ペリー来航以降、貿易会社・銀行が横浜・長崎に支店を作り(横浜に商社のジャーディン・マセソン、長崎にオランダ銀行(の前身のオランダ貿易商会など。)、明治以降は、シティバンク、スタンダードオイル、アメリカンタバコ、シンガーソーイング、GE、アームストロング、ジーメンス、ヴィッカース、ダンロップ等が次々と進出しています。
現在の日本の大手企業も元をただせば、外資系という例が多数見られます。電機業界では過半が外資系でした。たとえば、日本初の民族資本と外国資本による合弁会社であるNECは、ウェスタンエレクトリック(現在のアルカテル・ルーセント)が54%出資していました。東芝は、東京電機と芝浦製作所が合併した会社ですが、いずれもGEとの合弁会社です。
戦前の日本では技術力・資本力が欧米企業に比べ決定的に劣っており、重工業・電機・化学等の分野において外資導入が不可欠といってよい状況でした。
積極的に外資導入を図った戦前に比べ、戦後は国内企業が日本経済の中心でした。その要因は、第二次世界大戦で多くの欧米企業との資本関係が切れたこと、戦時中の軍需産業化を経て国内企業の市場支配力が決定的なものとなったこと、国の閉鎖的な市場政策などです。
しかし、バブルの崩壊による長期不況を脱却するため、国は対日投資を積極的に歓迎し始め、入国管理行政も対日投資をサポートするようになっています。
こうした流れの中で、今年の春に二つの政策変更がありました。
1 代表取締役の住所について
これまで、会社の代表取締役のうち最低一人は日本に住所を有しなければ、会社設立等の登記申請は受理されないという取扱いでした。このため、外国在住の人・法人が日本で会社を設立する場合、日本人又は在日外国人をパートナーとする必要がありました。
この制限が平成27年3月16日に撤廃され、代表取締役の全員が在外外国人であっても会社設立等の登記申請が受理されることになりました。つまり、日本人等のパートナーは必須ではない、ということです。
2 経営管理ビザについて
これまで投資経営ビザと呼ばれていたビザが、経営管理ビザとなり、その内容も若干変わりました。
特色は4か月の在留期間が設けられたことと、法人で事業を行う場合にその法人を設立しようと準備しているときにこの4か月の在留期間が与えられることになったことです。
もっとも、背景事情が分からないと以上の改正の意味が分からないと思います。
起業家が法人で事業をして、投資経営ビザを取得しようとする場合、法人を作ってからでないと投資経営ビザはおりませんでした。
また、外国人が法人を作る場合は二つの問題がありました。
一つは代表取締役の一人の住所が日本になくては行けないという規制がありました。もう一つは資本金の払込みに銀行口座が必要で、日本人又は在日外国人でないと銀行口座は作れないという問題です。
上記問題をクリアするために、従前は、代表取締役の一人を日本人等のパートナー役として会社を設立し、それから他の代表取締役の外国人についてビザを申請するという手法を取られることが多かったのですが、信用できる日本人等のパートナーを見付けることがなかなか難しく、手続的負担が大きかったのです(なお、その他、口座のある外国銀行の日本支店に口座を作るという方法がありました。)。
そこで、国は対日投資を増やすために、代表取締役全員が外国在住でもよいとし、さらに、在外外国人が会社設立前でもビザを取れるようにしたのです。
したがって、発起人が銀行口座を持っていれば、代表取締役全員が外国在住の会社を作ることができるようになりました。また、銀行口座を持っていなくても会社設立前にビザを取得できるようになったので、そのビザで来日し、住民票登録をして銀行口座を作ることで会社を設立できるようになりました。
それでは、日本人等のパートナーがいなくても会社設立に問題がないか? といえば全くそんなことはありません。
経営・管理ビザで起業しようとする場合の要件は、
1 常勤雇用者2名又は資本金500万円(常勤雇用者1名+資本金250万円もOK)
2 事務所の存在又は確保
の二つです。
問題は2の方で、日本の取引慣行では、日本に住民票登録のない者に対して、事務所用不動産を賃貸することは通常ありません。したがって、事務所用不動産を購入するような資金力があったり、提携先等の特別のコネクションがあったりしない限り、やはり、日本人等のパートナーが必要ということになります。
この事務所要件が緩和される気配はないので、今のところ、今回の政策緩和は対日投資歓迎の掛け声以上のものではない、ということになりそうです。
なお、事務所が準備できる場合であっても、会社設立や在留資格取得には資格証明証等の煩雑な書類の準備が必要です。日本人であっても手に余る手続なので、外国人であればなおさら実際の手続は専門家に依頼するのが無難でしょう。
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