映画「それでもボクはやっていない」を観る-「それでもボクはやってない」(周防正行監督、2007年)(上)

周防正行監督によるこの映画は、裁判員裁判が導入される2年半前の2007年1月に劇場公開され、職業裁判官のみによる刑事裁判のマイナス面を余すところなく暴き出すものとして絶賛されました。

映画タイトルと同名の周防の著書(幻冬舎)によれば、周防がこの映画を企画したのは、痴漢として起訴され1審で有罪とされた1人のサラリーマンが2審で逆転無罪を勝ち取るまでの経緯を伝える、2002年12月の新聞記事を目にしたことに始まります。 この映画の主人公は、加瀬亮の演じる26才のフリーター・金子徹平。朝の超満員の通勤電車の中で女子中学生に痴漢行為を働いたとして現行犯逮捕される。認めさえすれば略式の罰金刑となり、すぐ釈放されたのに、否認を続けるため、勾留されたまま起訴(公判請求)される。保釈が認められたのは、逮捕から5ヶ月を経て「被害者」の女子中学生の法廷での証人尋問が終了した後で、保釈金は、なんと500万円です。徹平の母と友人を中心に支援グループが結成され、目撃者探しや再現ビデオ作成に取り組む。経験豊かな主任弁護人の荒川(役所広司が好演)やジェンダー論者の若手女性弁護士(瀬戸朝香)も、この小さな冤罪事件に全力で取り組む。 当初の担当判事(単独)は、それまで無罪判決を続け、マスコミから「無罪病」と揶揄されている若い判事だったが、途中で転勤となり、係属部の裁判長が自ら単独審理を担当することになる。支援活動のおかげで、当日の社内での目撃者が現れ、証人尋問が実現。 徹平は、最終意見陳述で、裁判官を真直ぐに見つめながら、こう述べた。 「私は無実です。絶対に痴漢のような卑劣な行為は行っていません。…」

映画「それでもボクはやってない」(下)