プラモデル造りと油絵についての雑感

1.2年半前から千代田区にある絵画教室で油絵を習い始めた。

デッサンから下絵を造り、中塗り、仕上げという段階を踏んで完成させる油絵制作の手順は、昔、小学校時代に夢中になったプラモデル造りに相通じるところがある。

プラモデルの場合、無論、図面があり、組み立ての順序に従って、パーツを造り、本体を制作して仕上げる。製品には地色があるが、色を塗ることもある。戦闘機、戦艦、駆逐艦、戦車など数多くの模型を組み立てたが、筆者の一番のお気に入りは、ドイツの「パンサーと、タイガー戦車」であった。2番目のお気に入りは戦闘機であるが、零戦よりも英国のスピットファイヤーや米国のムスタングやロッキードP38などの外国勢がお気に入りであった。

プラモデルの制作に夢中になり時間を忘れた。油絵も佳境に入ると同じような感覚になる。

2.プラモデルは3次元の形態を有するが、絵画は2次元の世界の産物である。

西洋絵画の歴史を紐解けば、2次元の世界に奥行きを出すために、空気遠近法なる技法が考案され、ルネサンス期以降にレオナルド・ダヴィンチ等によってその具体的活用がみられる。これに反して、日本画は平安時代の絵巻物から始まり、近現代に至るまで、2次元的思考が強く、立体感に乏しい。浮世絵などは、構図と配置、色遣いで勝負する。立体感はひたすら鑑賞者の想像力に委ねられている。

その点、葛飾北斎の版画は、対象物の配置の妙と色彩から遠近法に類似する構成を持っている。「画狂老人」の天才たる所以である。絵画において、構図の問題を真剣に研究したのはポール・セザンヌであり、静物・風景・人物画のいずれにもその成果を感じることができる。

3.ルイス・キャロルの「ふしぎの国のアリス」では、2次元の住人としてハートの女王や衛兵が登場する。

2次元の住人は、3次元の世界を理解できない。2次元の世界の人に3次元以上の世界を説明しょうとする物語が「フラットランド」に書かれている。2次元の世界の人には、3次元の立体物は、単にその形態の影としか認識できないのである。

現代の理論物理学の世界では多次元の世界が論議されている。筆者の考えでは、ダリやビカソの絵には多次元の世界を2次元の絵画に写し込もうとする意図が感じられる。これらの芸術家は、見えぬ次元の世界を感じて2次元の世界の絵を描いているような気がしてなりません。