貧乏弁護士に新事件が…-「評決」(シドニー・ルメット監督,1982年)(1)

弁護士過剰のアメリカで揶揄的に使われる言葉に“Ambulance Chaser”があります。サイレンを鳴らして走る救急車を追いかけて、被害者や遺族から訴訟などの依頼を受けようと事件現場や病院に現れる、“仕事あさり”の貧乏弁護士を指します。

「評決」The Verdictでポール・ニューマンが演じる“飲んだくれ弁護士”のフランク・ギャルビンも、まさにその1人。新聞で、見知らぬ人の0bituary(死亡記事)を見ては葬式に参列し、死者の妻に「生前、懇意にしていただいた」などと名詞を差し出して相続事件などの依頼を受けようとするが、成功率はきわめて低く、面罵されて追い出されることもある。妻とは離婚し、手持ち事件は3年間でわずか4件で、荒れ果てた事務所には秘書を置くこともできません。
見かねた友人の弁護士が、「おいしい」仕事を回してくれる。3年前、出産のためにカトリック教会系の大病院に入院し、麻酔ミスで死産のうえ、すべての知覚・感覚を奪われてベッドに繋がれたままの女性(の妹)が依頼者です。すでに訴訟は提起されていて、病院側は、医療過誤を隠すため、新任のギャルビンに示談金21万ドルを支払うと提示。ギャルビンは、着手金を取らない代わりに、3分の1の7万ドルの成功報酬を簡単に手にすることができるとニンマリする…。
しかし、「金のための三百代言」に成り果てたギャルビンに、植物人間としてベッドに横たわる被害者を見つめるうちに、弁護士としての社会正義の感覚と闘争本能がよみがえる。ギャルビンは、無謀にも、この「おいしい」提案を拒絶して、医療過誤であることを証拠に基づき判決で明らかにしようとする…。

「評決」(シドニー・ルメット監督,1982年)(2)に続く