三姉妹(下)

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ワンピン監督の手法は、ジャングルに擬装の自動カメラを設置し、野生動物の生態を記録する方法に似ています。貧しさの極限にあるインインの家の中にカメラを1台据え、もう1台を手持ちにして、村の人々の日常をひたすら記録する。撮られる側もやがてカメラを意識しなくなる。

客観的に見れば、この映画は、共産党政府が2003年以降、雲南省を含む国土の約70%を占める辺境地域で推進している「西部大開発」政策の負の面を鋭くえぐり出すものです。しかし、この映画は、NHKのドキュメンタリー番組のような、ナレーションによる深刻な解説などは一切行わない。政府の辺境政策に対する批判も、「言葉」による限り皆無です。

ちなみに、映画パンフによれば、インイン一家は漢族ですので、貧困と少数民族問題とは無関係のようですが、父が町から連れてきた新たな「母」は、髪覆い(スカーフ)を離さないので、回族(イスラム教徒)かも知れません。 究極の貧困を描くこの映画が観客にもたらすものは、「絶望」ではなく、「希望」です。それは、リウ監督の「再生の朝に」と同様に、ワンピン監督が、インインを通して、人間の尊厳を描くことに成功しているからだと思います。