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NHK会長人事について思う

1. NHKの籾井会長の「慰安婦発言」が物議を醸し、国内だけではなく外交にも影響を及ぼし始めている。籾井氏は、三井物産の副社長から日本ユニシスを経て、昨年12月にNHKの第21代会長に選任された人物である。民間会社から官営会社に転じた籾井氏の経歴をみて、戦前に三井物産の社長を務め、昭和38年に官営会社であった国鉄に第5代総裁に就任した石田禮助を思い起こした。石田禮助の伝記を記した城山三郎氏の書籍で表題にもなっている「粗にして野だが卑ではない」(文春文庫)は、国会の初登院であった昭和38年5月21日の衆議院運輸委員会における石田の総裁就任の弁として紹介されている。粗野であるが、傲慢ではなく、(品性・行動)は卑しくないという趣旨である。昔、三井・三菱の2大商社の社風に関して、人の三井、組織の三菱という言葉があったと記憶している。まさしく、石田の言葉は、良い意味で三井物産の社風を反映するものである。

2. 籾井氏が歴史問題に対してどのような個人的な考えを持つのか、市民と同様の自由を持つべきは当然のことではあるが、不可解なのは、NHK会長職としての抱負を聞かれたときに、ワザワザこの発言をしているという事実である。NHK会長人事に関して、時の政府の意向が色濃く反映されていると多くのメディアが報道している中で、会長の発言は、自己の選任にかかわった者に対する「追従」【ここでは「ツイショウ」と読む】と捉えられても仕方のない行為であろう。「追従」とはこびへつらうことであり、品性・行動が卑しくないことと対極にある言葉である。籾井氏のその後の記者会見における記者とのやりとりなどを見るとやや上半身をのけぞらせて、いかにも不満げな様子で応答をしている。意向に沿わない記者会見とは思うが、このような人物が公共放送のトップというのは寂しい限りである。

3.NHK会長及び経営委員のあり方に焦点があたっているが、宛て職ではなく、本当に公共放送を担う人材を確保するためには、組織と運営について一層の「独立性」を制度的に確保する必要があると思われる。